コンサル会社がなぜマンガ制作?
描きたかったのは、DIの“ビジネスプロデュース”

DIにおけるビジネスプロデュースをわかりやすく表現したマンガ『ビジネスプロデュース!~DI式 3000億円事業の創り方~』。制作を手掛けたのは、DIマーケチームの野邊義博氏と佐々木克仁氏。ビジネスコミックの制作会社と協業し、DIの日常をリアリティは持たせつつ、エンターテインメント作品として描いた。今回はマンガ制作を手掛けた二人に、制作の意図や読みどころなどについてインタビューを行った。

Profile

執行役員
野邊義博

東京工業大学工学部経営システム工学科卒業、同大学院経営工学専攻修了(経営工学修士)後、新卒でDIに参加。消費財、メディア・コンテンツ、住宅、電機、自動車・自動車部品、素材・化学、総合商社、電力、石油などの様々な大手企業にて、事業創造の支援や産業プロデュースの活動に加え、サステナビリティや中計、非財務指標やESG連動報酬設計等、コーポレートテーマのコンサルティング等、様々なPJを担当。また、DIのマーケティング/ブランディング活動の統括を兼務。

ビジネスプロデューサー
佐々木克仁

東京大学工学部電子情報工学科卒業、同大学院学際情報学府修了後、DIに参加。ビジネスプロデューサーとして、製造業・エネルギー業等で新規事業を始めとした事業創造の支援に従事。また、DIのマーケティング/ブランディング活動にも関与。

 

マンガを通して、DIの“ビジネスプロデュース”をわかりやすく伝えたい

――最初に野邊さんにお話を聞かせてください。
今回、DIとして初めて自社の仕事を題材にしたマンガを制作しました。何がきっかけだったのでしょうか。

野邊:DIは2000年の創業の頃から「ビジネスプロデュース」という概念・言葉を掲げています。近年、多くの大企業のトップアジェンダとして「事業創造」が挙げられる中、「ビジネスプロデュース」という言葉が広く使われるようになってきました。言葉が広まったこと自体は嬉しいのですが、その分さまざまな解釈で使われているのを見ます。
私はDIのマーケティングやブランディング、PRなどを手掛けるマーケチームの統括を兼務しているので、このタイミングで、DIが言いたい「ビジネスプロデュース」とはこういうことだというのを、改めて発信したいと思ったのがきっかけですね。

――なぜマンガという手法を選ばれたのでしょうか?

野邊:2015年に出版した『3000億円の事業を生み出すビジネスプロデュース戦略 なぜ、御社の新規事業は大きくならないのか?』(三宅孝之/島崎崇の共著)という書籍があるのですが、この中で小説を掲載することにチャレンジしました。
今回は、より多くの方にわかりやすく伝えたいという想いがあったため、振り切って最近電子コミック市場も急成長中のマンガという手法を選びました。せっかくマンガにするのだから、内容に関してもビジネスパーソンだけでなく、大学生や高校生にも興味を持ってもらえるようにつくりたいと思ったんです。
もちろんマンガなので、エンターテインメントを意識した部分もありますが、DIの「ビジネスプロデュース」はこんなにスケールが大きく面白い仕事なんだと感じてもらいたいですね。

――マンガはどのようなストーリーになっているのでしょうか。

野邊:主人公の双葉を中心とするDIのメンバーが、クライアントである老舗の製造系メーカーの事業創造を支援するというストーリーです。最初に社会課題から考え、高い視座から構想を妄想し、戦略を策定して実行するというDIの「ビジネスプロデュース」の流れが伝わるようにしています。

――マンガの内容に関して、特に意識したことはありますか?

野邊:今回のマンガを通じて伝えたいのは、「世の中は変えられる」ということです。
ビジネスパーソンとして、社会を変えるくらいのインパクトを生み出すことができるということが伝わればうれしいですね。いまの日本は閉塞感が強く、ややもするとネガティブになりがちだと思うのですが、状況は必ず変えられます。前向きに考えて自ら動ける人が求められている時代です。今回のマンガを通じて、ぜひそういったことを感じてもらえたら嬉しいです。

 

日常のコンサル業務とは違う、マンガ制作を通して得た経験

――では、今回のマンガ制作の現場を担当した佐々木さんにお伺いします。
制作している中でどのような点に気をつけましたか。

佐々木:リアリティと読みやすさのバランスです。DIのビジネスプロデューサーがどういう気持ちで仕事をしているのかに関しては、社内でヒアリングしエピソードを集めマンガに盛り込みました。「妄想」や「生々しさ」といった表現は、DIで日常的に使われています。一方で、戦略策定における実務的な苦労やビジネス上の複雑な議論は端折っていく構成にしました。リアルを追求しすぎてしまうとマンガとして成立しないので、そこはバランスを見ながら楽しめることを大切にしましたね。
また、マンガではどうしても伝えきれないけれども、ビジネスプロデュースにおいて無くてはならない考え方については、記事の最後にコラムを設け、補足説明を入れるようにしました。

――どのようなところが難しかったでしょうか。

佐々木:当然ですが、制作会社はDIのビジネスプロデューサーがどんな仕事をしているのか知らないので、マンガを描くのに多くのことをお伝えしてご理解いただかないといけないのは難しいところでしたね。また、日々の仕事は地味で泥臭いけれど面白い仕事も沢山あるのですが、それでは当然画にならなかったり。セリフに関しても、社内メンバーと何度も議論し、推敲に推敲を重ねました。苦労もありましたが、制作会社を含めた社内外の方と何回もやり取りをして、改めて自分たちの仕事を見つめ直すことで、ビジネスプロデュースの魅力が伝わるマンガに仕上がったと思います。

――マンガ制作に携わってみてよかった点などあれば教えてください。

佐々木:マーケチームの仕事は兼務のため、私を含めメンバーは皆コンサルティングの仕事が基本としてあります。コンサルティングの仕事では直接世の中に公開される成果物はあまりないのですが、世の中に発信されるモノを作れたのは自分にとって大いにプラスになりました。反響も多数いただき、DIにとっても良かったし、コンサル業界で働くことを考えている人に対してもポジティブな効果があったのではないかと思っています。コンサルの仕事の実態は外部からは分からないことが多いと思うので、マンガを通してわかりやすく「こういう仕事です」と伝えられたことは、非常に価値があることだなと思いました。

――ビジネスプロデューサーとして、双葉のような経験はありますか。実体験のエピソードがあれば教えてください。

佐々木:新規事業策定の際、対象となる業界の関係者に数十人規模でインタビューし、業界の課題を分析するというのは実際によくあります。マンガの中でも双葉が課題の真因を突き詰めていくエピソードがありますが、例えば業界関係者に「人手不足が課題です」と言われても、言葉を表層的に捉えては本質は掴めません。双葉があきらめずに「なぜだろう」と考え続けることで課題の真因を捉えるくだりは、ビジネスプロデュースのリアルにとても近いですね。

――最後に、マンガの題材にもなっている「ビジネスプロデュース」の仕事やDIに関して、お二人はどんなところに魅力を感じているか教えてください。

佐々木:ビジネスプロデュースの仕事には、答えのない問題を解く面白さがあると個人的には感じています。答えがないということは、仮説を自分で考えなければならない。特に新規事業であれば不確実性も高い中で、できる限りの分析をし、チームで議論しながら、クライアントにとってベストな仮説を考えるプロセスに非常にやりがいを感じます。
DIの仕事に関して言うと、今回のマンガ制作プロジェクトのように、私はマーケチームとしてDI自体のマーケティングやブランディングに携わっています。手を挙げれば採用やマーケティングにまで関われるので、コンサルティング以外の経験を積みたい方にとっても良い環境だと思います。

野邊:DIはミッションとして「社会を変える 事業を創る。」という言葉を掲げています。まさしくその言葉通り、大型の新規事業創造を仕掛けて、社会を変えるぐらいのインパクトを生むような経験をビジネスパーソンとしてできるというのは、本当に貴重なことだと思っています。もちろん難しいことですし、大変なことですが、そこが一番面白いところじゃないかな、と思いますね。
あとは、今回のマンガ制作に関してもそうですが、まず「やってみよう」という雰囲気がとにかく強い。そういう前向きな雰囲気が、私はDIのとても魅力的なところだと思っています。

 

DIマーケチームが手掛けたマンガはこちら。