DI’s Works Vol.1
第一本部長 石川 雅仁
「命題は、世の中に新たな価値を生み出していくこと」

第一本部長となり、社会課題を軸とする産業プロデュースと、それらを規模化するビジネスプロデュースに取り組む石川氏。「DIは日本で一番仕事が面白い会社。難しい課題に直面するとワクワクします」と笑顔を見せる。そんな石川氏に、現状から今後の展望に至るまで、お話を伺った。

Profile
統括執行役員/第一本部長
石川 雅仁

早稲田大学理工学部卒業、早稲田大学大学院理工学研究科修了。経営者になるために社会を広く学びたいという動機から住友商事株式会社に入社し、おもに鉄鋼製品の中国・アセアン諸国へのトレード業務に従事。その後、大企業の経営コンサルティングとベンチャーのインキュベーションを両輪で行うDIに惹かれ、2004年にジョイン。大企業の新規事業戦略・デジタル化戦略の策定と実行支援を手始めに、環境、エネルギー、まちづくりなど、多様な分野の産業プロデュースを実施。2010~2015年は、DI上海の総経理として立ち上げを主導し、日系企業の中国進出戦略策定、中国政府や政府系機関と連携したビジネスプロデュース活動に従事。
2022年4月、第一本部長に就任。趣味は高校野球観戦。

 

「構想や戦略にとどまらない、“価値”を創出する」

――第一本部ではどのような事業を行っているのでしょうか。

第一本部のミッションは、元々DIが手掛けていた産業プロデュース、ビジネスプロデュースというサービスラインを引き受け、大きな構想をつくって事業化していくことです。つまり、世の中に新しい価値を生み出していくことが大きな命題だと思っています。
上記に挙げた通り、サービスラインは二つあります。一つは社会課題を起点に大きな事業構想をつくっていく産業プロデュース。もう一つはその構想を事業化するだけではなく、規模化していくビジネスプロデュース。この二本柱になりますね。

――その事業を通じて、顧客にどのような価値を提供できるとお考えでしょうか。

構想や戦略にとどまらない価値の創出、平易な言葉でいうと「結果を出す」ことです。
なので、成功事例を聞かれたときには、「これをやりました」「あの企業さんはこれくらい大きくなりました」と、言葉に詰まらず具体例を言えるのが理想です。
DIがお客様に評価されている理由の一つは、お客様より幅広い業界を理解し接点を持っている点、そしてスピード感を持って外の世界を動けることです。お客様に伴走しながら、ビジネスを広げるために外の世界にお連れする、外部とつなげていくことに私たちの付加価値があると思っています。

――具体的な事例などあれば教えてください。

社会課題を起点にしたものが多いのですが、その一つが介護予防です。介護保険給付金が10兆円を超える現在において、いかにその社会コストを下げていけるか、という話ですね。そこで、事前の予防で介護保険給付金を下げることに取り組んでいます。ただし、医療も介護も予防の領域はなかなかビジネスになり得ません。誰しも予防にお金をかけないということは、そこに参画するプレーヤーが儲からないのとほぼ同義です。そこで大きな構想をつくり、ソーシャルインパクトボンド(SIB)というスキームを絡めたビジネスモデルを組み込み、パートナー企業を巻き込んで事業を推進しております。
またインフラ老朽化に対応した構想・事業戦略策定、実行支援のプロジェクトでもクライアントの事業が成長していたりもします。

――今までのお仕事の中で、顧客に言われた印象的な言葉などあれば教えてください。

印象的だったものは、あるプロジェクトを成功させたときに、「また同じメンバーでやりたいです」「次回はコンペをせずDIを指名でいきます」というものです。この二つを言われたときは非常にうれしかったですし、そこまで価値を理解していただけると意気に感じますね。また、とあるクライアントが、私が別のクライアントと手掛けた事業を引き合いに「あそこに目を付けたあの事業はすごい」と言ってくださったのはうれしかったです。守秘義務の関係もあり、自分が携わったとは言えませんでしたが(笑)。

 

「心の底から、日本の企業を応援していきたい」

――競合他社と比べ、上記のDIのサービスはどのような点で差別化できるとお考えでしょうか。

競合を戦略コンサルとした場合、私たちは次世代のサービス、ソリューションで戦っていると確信しています。日本の企業は、従来の欧米系の理論に基づく経営戦略や競争戦略、既存の事業の改善やリソース配分論だけでは生きていけないフェーズに突入しています。その中で、日本の企業を心の底から応援して今後どうしていくべきなのか、新しくどんな事業をつくっていくべきなのか、を考えているのがDIなので、そこに独自性があると思います。
今、日本の市場全体が成長していない中で競争戦略を考えても、小さいパイの奪い合いをしているだけになる。なので、パイを大きくしていくためにどういう構想をつくればいいかを軸として考えています。
リソース配分については、これは第二本部長の島崎の言葉を借りると、「リソース=自社のリソース=有限」と考えること自体センスがない、と。他社と上手く連携することでリソースが無限大になります。それがDIの仲間づくりの目的の一つだったりします。
大きな事業をつくるための構想とそれを実現するリソースを極大化するための仲間づくりを組み合わせ、更に市場をつくるために政策と連携するという動きを特徴としている点は他のコンサルティングファームとの大きな違いですね。

――担当本部のお仕事をしている中でのやりがいを教えてください。

我々の仕事はクライアントサービスなので、お客様の評価がやりがいに直結します。DIのプロジェクトは、本部に関係なく基本的に難しいです。仕事で悩んだとき、メンバーと「なかなか解がないね」と冗談で話すときがありますが、そこを乗り越えてアウトプットする、その結果をお客様に評価していただくことをやりがいにしており、そこは全員で意識統一できていると思います。全社的にも、難しい課題にぶつかると生き生きする、ワクワクするというカルチャーが根づいています。
第一本部を志望してくれたメンバーは、事業創造に金融のスキームを織り込んで規模化させるなど、新しい付加価値を創造することで勝負したいという人間が多く、そういったことにやりがいを感じると話している人間もいます。

――他の2本部と連携をしていくイメージがあるのでしょうか。

第二本部との関係性でいうと、第一本部で構想と事業をつくり、それを日常化するのが第二本部です。第一本部は「構想」「テーマ」ドリブンで、そこで事業が一つ成功したとしても、大企業にとってはゴールにはならない。そういったものを拡大再生産し、継続性を持って新しい柱となるものを構築していく必要があります。
となると、新しい事業を生み出す組織づくりが重要になってくるので、そのようなご相談があった場合は第二本部と連携します。
第三本部とのつながりは、それぞれ日本と海外ではありますが、社会課題起点に動いているところは一緒だと思います。日本側で社会課題解決のためにやってきたことが海外に展開できるのであれば第三本部に渡せますし、逆に海外で社会課題を解決するのに一足飛びにやってきたことが日本で応用できるのなら、第三本部の知見を生かしながら国内で社会課題を解決していくこともできると思います。また、今後の日本企業は、海外での成長を取り込まないと成長が難しいと思いますので、日本企業の海外展開のプロジェクトでも上手く連携していきたいです。

 

「求められるのは、事業を通じて、社会課題を解決していくこと」

――第一本部として、今後、どのような分野・テーマに取り組んでいきたいなどあれば教えてください。

産業プロデュースのアプローチ手法は基本的に社会課題軸なので、世の中のトレンドとなっている社会課題を追うかたちになります。カーボンニュートラルについては、すでに経済産業省などと議論を進めており、大きく仕掛けていく予定です。ほかにも、少子高齢化、食糧問題、資源不足といった分野に取り組んでいくことになりそうです。ビジネスを生み出すのが難しいと思われる領域もありますが、そこから意義のある面白いビジネスをひねり出したいです。
ビジネスプロデュースでは、ヘルスケア・メディカル・カーボンニュートラルに絡めたエネルギー、デジタル・データ活用といった分野・テーマはお客様も気にされています。これまでの経験・知見を活かしながらプロジェクトを増やしていきたいです。また、第一本部はソーシャルインパクトボンド(SIB)という事業を抱えています。一つでも多くの社会課題を、SIBで解決していけたらと思っています。
チームづくりという面では、ビジネスプロデューサーを増やしつつ、優秀な方々に残っていただくリテンション施策にも力を入れています。ただし、最終的に第一本部のメンバーを生き生きとさせるのは、面白いプロジェクトがあることです。面白い仕事をどんどん増やし、チームの一体感を高めて勝負をしていきたいです。

――個人として、本部の仕事を通して、DIとして、どのような想いでお仕事をされているかお聞かせください。

第一本部およびDIとしては、大玉の事業創造で結果を出し、日本の経済成長に貢献していきたいです。「社会を変える 事業を創る。」というDIがかかげているビジョンが大好きなので、それを体現していきたいですね。
個人的な話をすると、元々は目の前の小さいことが気になってしまうタイプなのですが、あるときから世の中をどう動かしていけるかという大局的な視点で物事を見るようになりました。引き続きその視点を忘れずに仕事を続けていきたいですね。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

より多くの企業に「DIと連携して事業創造してみたい」、より多くの方々に「DIで大きな事業創造に取り組んでみたい」と言っていただけるように、社会を変える、事業を創っていき、DIを面白い会社にしていきたいです。