【社会を変える挑戦者たち in インド】Vol.1 Turtlemint / ディレンドラ・マヤバンシCEO(後篇)
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Turtlemint ( https://www.turtlemint.com/ )
前篇までのあらすじ
(前篇はこちら)
DIが出資し、経営をサポートしてきたインドの優れたスタートアップ企業を取材する「社会を変える挑戦者たち in インド」。このシリーズでは彼らのビジネスモデルや起業家の魅力、インド市場の特徴を紹介します。
第1回目のインタビューに答えてくれたのは、TurtlemintのCEOであるDihendra Mahyavanshi(ディレンドラ・マヤバンシ)氏。
Turtlemintは直近、米国をはじめ複数の海外から3,000万米ドルのシリーズDファンディングを受けた成長著しいスニコーン(Soon to be Unicorn、ユニコーン候補のスタートアップ)です。
後篇は、COVID-19がインドと彼らのビジネスにどのような影響を与えたか~から始まります。
COVID-19の影響
-COVID-19はインド全体や御社のビジネスにどのような影響を与えましたか?
インドでは強制ロックダウンがあったため、影響は大きかったですね。インドのGDPは2020年Q1FYで25%下落しました。Q1FYは4月、5月、6月にあたるんですが、以前は6%程度成長していたことを考えると25%の落ち込みは、かなり大きな影響があることを示していますね。
私はCOVID-19がインドをオフラインからオンライン化へと導いたとみています。自社の話に戻れば、保険アドバイザーの業務がすでにデジタル化されていたので、ロックダウン中もスムーズに動いていました。
最初の1ヶ月は数字上の大きな落ち込みがありましたが、その後は伸び始めました。保険アドバイザーは、ビデオチャットアプリを介して消費者とオンラインで連絡を取ることができ、提案された保険を気に入ってもらえれば、即座にオンラインで提案内容を共有することができました。保険のポリシーも同様です。
オンラインからオンラインへの移行に加え、COVID-19はインドの保険に対する意識を大きく高めましたね。COVID-19のような感染症にかかった場合、入院費が5万~8万米ドルかかることもあるため、保険が不可欠であることをみんな理解しました。そして、もし保険に加入していなければ、破産してしまうかもしれないのです。
ビジネスを動かす人物像に迫る
-起業家になるということを想像していましたか?もしくはずっとなりたいと思っていた存在でしたか?
学生時代からずっと起業家になりたいと思っていましたね。成長していくなか、手段はわかりませんでしたがいつか自分の会社を持ちたいという思いは間違いなく明確でした。
子供の頃は経済的な問題を抱えていたので、それを解決することが大きな目標の1つでした。もう1つはスタートアップを作ることです。
-人生のモットーはありますか?
私たちは誠実さを核に企業を運営しています。そして私たちの存在意義は保険アドバイザーのような小さな起業家に技術を民主化して提供し、雇用創出につなげることにあります。そうすれば、誰もが技術にアクセスできるようになりますよね。それが私たちのコアとなる考え方です。
所有した技術をみんなに分配しようとしています。そのため、企業やいくつかの大規模な代理店でさえも、私たちのテクノロジーを使っています。ある時点で競争が起こるかもしれませんが、私たちはそれでも構わないと考えています。
なぜならそうした競争は私たちが生み出した技術がみんなに行き届くということだからです。
インド市場の独自性
-市場としてのインドの独自性とは何だと思いますか?
インドは現在、非常に向上心の強い若い人口が多く、より良い生活、良い収入を望んでいます。彼らは商品のサプライヤーや政府に対して、より良い製品やサービスを求めています。
確かにインドはその巨大さからいくつかの課題を抱えています。25の異なる言語と5000の方言が話されており、すべての州は独自のダイナミクスを持っています。郵便番号ごとに分かれたそれぞれの地域は、文化も独特です。
しかし、これらの課題はチャンスでもあるんですよ。複雑な課題を解決するのは容易ではありませんし、直面する困難を過小評価することもあるかもしれません。しかし、それらを解決さえできればその後に待っている成功は格別ですよね。
-ビジネスを行う上で直面する文化の違いを一つ挙げてください。
インド北部のラジャスタン州では、一家は娘の結婚式に大きな出費を予定しています。この地域では娘の結婚式が収入に占める最も大きな経済的支出の1つなんです。
インド南部のタミル・ナードゥ州では、教育に対して多額の金銭的支出があります。そうなると、ラジャスタン州で保険商品のマーケティングをする際、結婚式に焦点を当てることになります。
一方、タミル・ナードゥ州では教育資金の確保にフォーカスします。これは非常にシンプルな例に過ぎません。このように地域ごとに鍵となる解決策があります。
-地域ごとに好みが分かれているんですね。
そうですね。もう1つの例としては、北インドの人々は価格に非常に敏感で、南の人々は品質に非常に敏感です。そのため、保険の好みは2つの地域で異なります。当社のプラットフォームは、保険アドバイザーの郵便番号に基づいて適切な商品を提供する知能を持ち合わせているんです。
手を伸ばす先にある目標
-今後数年、長期的に達成したい目標を教えてください。
まず私たちの重要な目標の1つは、数字の上での会社の成長の確保ですね。そして現在の1億3,000万米ドルの純保険料のランレートから、今後の数年間でさらに100万米ドルを超える数字を増やしていこうと考えています。
現在の約8~9倍スケールアップしたいですね。可能であれば、インドの証券取引所にも上場したいです。
–個人的な目標は?
かなり長い「やりたいことリスト」がありますよ。いろんな国を旅行したり、シックスパックの腹筋を作ったり…なんてね(笑)。
※取材協力・編集:pilotboat