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INTERVIEW

アルムナイインタビュー
~VC編②〜
「ビジネスプロデューサーとVCファンド」
DIアルムナイが活躍するワケとは

DI卒業生たち(アルムナイ)は、様々な業界の第一線でビジネスプロデューサーとして活躍しています。会社や手法は異なれど「社会を変える 事業を創る。」という思いは共通しており、そんなアルムナイネットワークをDIは非常に大切にしています。

今回の対談ではVC(ベンチャー・キャピタル)で活躍するDIアルムナイ2名に、DIでの経験が現在のキャリアにどのように活かされているのか、卒業生から見たDIの魅力などについて聞きました。(聞き手:DIビジネスプロデューサー 藪 優太郎/佐々木 克仁)

「ベンチャーキャピタリスト」の事業の見極め方

ーーVCでは何百とあるスタートアップの中から出資先を選定するかと思いますが、事業の目利きという部分はどのようにされるのでしょうか?

植木:

企業の成長ステージによって見る項目は異なります。

「シード」や「アーリー」と呼ばれる、まだ事業が確立していないフェーズでは、経営者や対象市場の大きさといった成長ポテンシャルの評価比重が高くなります。

一方で「ミドル」「レイター」と呼ばれる、事業が成長軌道に乗っているステージの企業であれば、実績・トラクションの再現性をシビアに見て、期待リターンを算出していきます。

木村:

私たちは「ミドル」「レイター」企業への出資が中心ですが、それはある程度事業の継続性が担保されていて、協業に資すると判断しやすいステージだからです。

植木:

逆に当社は「シード」「アーリー」企業に投資することが多いです。成功確率は低いかもしれないですが、出資先が無事Exitに至れば、大きなリターンを生むことができます。

そういった具合にVCの中でもポジショニングが棲み分けされています。

ーー経営者で判断する、というのは大企業向けのコンサルティングでは無い要素のように思います。

植木:

そうですね。ただ、VCとしては最も重要視しているポイントです。

投資検討する際には必ず対面で経営者に会うようにしていますし、起業の経緯や過去の経歴、モチベーションの源泉、経営チームメンバー同士の能力補完関係などを細かく見ていきます。

とはいえ絶対的な正解が無い世界で、投資の意思決定時も「全員賛成」というケースは少ないです。

常識や一般とは違うからこそイノベーションが起こるし、各投資担当者の見方が異なるからこそ結果的にリスク分散にも繋がる、という感覚はVCならではのダイナミズムかもしれません。

「VC」と「コンサルティング」、違うポイント

ーー他に何かDIの大企業向けビジネスプロデュースと違いが大きい部分はありますか?

植木:

VCはどうしても出資してから結果が出るまでのスパンが長いです。そして結果を出した投資家に良い投資候補先の情報が集まってくるので、VC経験年数≒参入障壁」という新参者にやや厳しい側面があるようには思います。

木村:

たしかに、短期間での一発逆転はあまり無い世界ですよね。

植木:

あと、DI流で突き詰めて考え抜くと、合理的には失敗確率が高いのがスタートアップです。だからこそVCは数件に1件成功すれば良い、と割り切って分散投資をする。

一方で、DIが提案する新規事業にその姿勢は許されませんよね。

期待リターンとリスクのバランス、割り切り。この感覚はVCならではかなと思います。

木村:

予想だにしなかった事業が急激に伸びたり、確度が高いと思っていた事業が伸びなかったり。

そんなことが日常茶飯事に起こるので、たしかに「割り切り」の感覚は最初に悩んだポイントでしたね。アンラーニングが必要でした。

植木:

また、VCには全く異なる2種類の顧客がいて、1つはファンドに原資を出資してくれる大企業や金融機関。2つめが出資先のベンチャー企業です。両者に価値を提供しなければいけないのがコンサルティングとは異なるポイントです。

大企業サイドでは、特にCVCの場合は出資元が親会社1社であることが多いので、親会社の課題や戦略を一緒に考え、オープンイノベーション戦略に落とし、マッチするベンチャー企業を探索していきます。これは比較的、DIのビジネスプロデュースに近いですよね。

一方でベンチャー企業サイドでは、優れたベンチャー企業や起業家であるほど、得てして戦略自体を誰かに支援してほしいというニーズが低いものです。

この前、とある勉強会で「何も支援せずとも成功する企業が2割、どんなに支援をしても失敗に終わる企業が2割、支援によって成功可否が変わる企業が残り6割」とおっしゃっている方がいたのですが、まさにそんな感覚です。

本当にベストな投資ができたなら、支援は求められない。コンサル出身者は「支援したい」となりがちですが、優れたベンチャーほど放っておいてほしい企業も多い。

このモチベーションギャップが存在するのはVCとコンサルティングの違いかなという気がします。

DIビジネスプロデューサーが活躍するワケ

ーーDIでは何百と新規事業案を検討するわけですが、その経験が活きている感覚はありますか?

植木:

それですべて未来を当てることができれば今頃は全員大成功ですよね(笑)

木村:

たしかにロジックですべてが予想できる世界ではありませんが、DIが得意とする「見えない未来をロジカルに予測していく」という力も分散の1つの方向だと考えると、それはキャピタリストとしての強みですし、拠り所ではあると思います。

例えば、DIでは新規事業を検討する際に、全く違う業界や事業で起きているイノベーションのファクトから要素を抽出して、アナロジーとして対象事業に活かすという思考法を繰り返しますよね。

私も様々な業界、ビジネスモデルに触れて、その度に膨大なファクトをインプットしてきました。

その時のプロジェクトでは直接的に貢献しなかったインプットでも、アナロジーは思考の引き出しの幅として、今にも活きていると感じています。

植木:

私が活きていると感じるのは、すごくシンプルですが「インタビュースキル」です。

VCは意思決定速度が一つの大きな競争優位性になるので、短期間のうちに投資可否を決定する必要があります。

例えば投資候補先企業の顧客に対してインタビューをするとしても、1つのインタビューから一般化できる要素を瞬時に抽出する力が差別化になるのです。

具体例を挙げると、倉庫内の自動搬送ロボットを開発するスタートアップに投資検討をしたことがありました。

そのロボットが導入されている1つの倉庫を見に行ったのですが「狭い通路がある倉庫にはこのロボットが最適」という顧客の言葉を聞いて、その言葉を深掘りしていくことで、対象顧客となりうる倉庫の床面積、ひいては対象市場規模を割り出したということがありました。

いかに11つのインタビューから深い示唆を得られるか、1つの言葉から様々な意味を見出すことができるか、というスキルは役立っていると感じます。

木村:

論点整理の力ですよね。

ほかのアルムナイの方もおっしゃっていますが、「メモを書く力」をとにかくDIでは鍛えられます。

インタビューで聞くべき論点はなんなのか?インタビューで得た示唆は、ー文で整理すると要はどういうことなのか?コメントを構造化するとどう整理されるのか?

DIではいつも上司にメモを真っ赤にされて「メモを書くのってこんなに難しいんだ」って思ってました(笑)。でもその力は、どんな場面でも活かせていると思います。

“動物園みたい!?”なDIで自分らしさを磨け

ーー最後に読者の方、特にDIへの就職を検討中のみなさんにメッセージをお願いします。どんな人にとって、DIはフィットすると思われますか?

木村:

抽象的なテーマのプロジェクトが多いから、一見手抜きしても許されてしまいそう。だからこそ一切の妥協を許されないDIのプロフェッショナリズムはすごいものがあります。

さらには、常に「あなたはどう考えるのか?」というスタンスをとることが求められます。自分ならではの仮説や答えを模索する文化が強いからこそ、メンバー一人一人の個性が磨かれます。

元々DIにいました」って話をすると「動物園みたいなコンサルですよね」って言われることがあるのですが(笑)、本当にメンバーの多様性は業界でも際立っていると思います。

どんな個性を持った方でも、受け入れてくれる寛容さがあるのがDIらしさかなと。

植木:

私はコンサル会社からの転職組なのでより強く感じるのですが、DIのプロジェクトは対象業界が多岐に渡り、すべてのプロジェクトが斬新で面白いです。「よくこんな抽象的なテーマで案件が受注できるな」と驚かされるくらい(笑)。

この「テーマの面白さ」というポイントはコンサルティングをやるうえで本当に重要ですし、難易度は高いですが、その分自信にもつながります。

「新規事業を作りたい」「社会課題を解決したい」というキーワードに好奇心を持てる人には向いている会社かなと思います。

木村:

私もまさに好奇心でDIに入った人間です(笑)。

夢みたいな妄想、社会を変えるテーマについて真剣に議論しあえる仲間がいて、業界を牽引するお客様と真剣に議論できる。

これは他の環境では得難い経験だと思いますし、実際に振り返っても本当に面白かったです。

ひとつ加えるとすると、DIでは思いつきも含めた事業幅出しアプローチはとりません。徹底的にロジカルに、思考実験を繰り返しながら、新しい価値を創出していこうとする。

だからこそ、難易度は高いですし、求められるスキルも高いです。

植木:

あとは「巻き込み力」。新規事業は、机上一辺倒では生まれません。実際に現場に運び、時には省庁も含めて関係者を巻き込んでいく。これはDIらしいアプローチで、どんな環境においても活きるスキルです。

ハードスキルを身に付けたい人にとっても、期待を裏切らない環境がDIにはあります。

新規事業や社会課題解決テーマに対して「好奇心」が働き、コンサル的思考力はもちろんのこと、社会を巻き込んでいけるようなハードスキルを身に付けたい方は、ぜひDIの門をたたいてほしいと思います。