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INTERVIEW

アルムナイインタビュー
~メガベンチャー編①
「DI卒業後のキャリアはどうなる?」
元DIビジネスプロデューサーから見たDIの魅力とは

DI卒業生たち(アルムナイ)は、様々な業界の第一線でビジネスプロデューサーとして活躍しています。会社や手法は異なれど「社会を変える 事業を創る。」という思いは共通しており、そんなアルムナイネットワークをDIは非常に大切にしています。

今回の対談では急成長メガベンチャー「ラクスル」グループで活躍するDIアルムナイ2名に、DIでの経験が現在のキャリアにどのように活かされているのか、卒業生から見たDIの魅力などについて聞きました。
(聞き手:DIビジネスプロデューサー 吉原馨/佐々木克仁)

インタビュー アルムナイ紹介

ーー本日はありがとうございます。今回はDIのビジネスプロデューサーから急成長を遂げたメガベンチャー「ラクスル」グループに転じたお二人から見た「キャリアにおけるDI」について、本音でお聞きしていければと思います。まずは自己紹介いただいてもよろしいでしょうか?

網野雄太(以下、網野):

現在は「運用型テレビCMサービス」を提供しているノバセル株式会社(2022年2月にラクスルより分社化し、100%子会社)にいます。収益の柱として広告代理店モデルとSaaSモデルの2つがあるのですが、私はSaaS側の事業責任者をやらせていただいています。

DIから転職してきた際にはノバセルの経営企画部長も兼任していたのですが、現在はその役職を後任の方に引き継ぎ、ノバセルのSaaS事業に専念している形です。

ノバセルは「運用型テレビCM」を中心とした広告産業全体を変革しうるプラットフォームで、急成長を続けるラクスルの様々な事業の中でも随一の売上成長率を誇ります。そんな事業の事業責任者として、DIでまさに学んだ産業プロデュースの視点を実務として活かしながら、産業全体を変革するプラットフォーマーになるためにどういう戦略を取るべきか日々試行錯誤しています。

網野雄太/2021年DI卒
2011年博報堂入社。ストラテジックプランニングディレクターとして企業のコミュニケーション戦略立案を担当。2019年にDIに入社し、ビジネスプロデューサーとして大企業の新規事業戦略立案に従事、マネジャーを経験。2021年よりラクスルに参画し、現在はノバセル株式会社SaaS事業部長を務める。

 

城戸大輝(以下、城戸):

私も2021年にDIからラクスルに転職したのですが、ラクスルの主要事業であるラクスル、ハコベル、ノバセルに続く4の新規事業として立ち上げをしているコーポレートIT(情報システム部門)のプラットフォーム「ジョーシス」のBizDevマネージャーとして参画しました。

「ジョーシス」は2021年9月にローンチ後、2022年2月にラクスルより分社化し、3月には第三者割当増資を実施してラスクルの連結子会社から外れているので、まだまだ立ち上げ直後のいわば「ドベンチャー」状態の会社です。

現在は主にセールス&マーケティングのマネージャーとしてお客様と相対しつつも、プロダクトの要件定義、アライアンスなど、役割を様々に変えながらビジネスサイドに関わるあらゆることをやらせていただいています。

城戸大輝/2021年DI卒
2009年NTT東日本入社。ネットワークエンジニアや事業企画などを経て2018年にDIに入社。ビジネスプロデューサーとして大企業の新規事業戦略立案などに従事。2021年よりラクスルに参画し、現在はジョーシス株式会社にてセールス&マーケティングのマネージャーを務める。

DIを選んだワケ/ラクスルを選んだワケ

ーーまずはなぜDIに入社されたか、そしてなぜラクスルにキャリアチェンジされたのかお聞かせください。

城戸:

一貫している想いは「事業創造に携わりたい」「オーナーシップを持てる上流工程から携わりたい」ということ。DIを選んだ理由はビジネスプロデュースという言葉の通り、「産業の仕組みごと変えていく」ことにやりがいを感じたからです。

新卒で入社した会社でも事業開発を担当はしていたものの、事業創造というよりもどちらかというとインフラ構築側の視点でした。大人数を動かして、という立場ではありましたが、産業を俯瞰して構造的に付加価値の高い部分を見極めていくアプローチは出来ていませんでした。

DIは単なるコンサルで終わるのではなく、具体的な提言、そして伴走まで深くクライアントと事業創造することができます。さらに言うと、DIは自分たちでリスクテイクして事業創造していくこともしているので、中長期的に「オーナーシップを持って事業創造に携わりたい」と考えていた私にとっては魅力的でしたね。

では何故ラクスルに移ったかというと、実は積極的に転職しようと活動していたわけではなく、一定の経験を積んで「オーナーシップを持って事業創造に携わりたい」という想いが湧いてきたタイミングで、DI同様に私の想いと合致した機会を提示してくれたのがラクスルだったからです。

最後は両社内にある機会の中から、オーナーシップを持てる事業ステージで、かつ自分が一番関心のある事業としてジョーシスを選んだ形です。

ーーDI、ラクスルと一見違うように見えて想いは一貫していらっしゃる?

城戸:

はい、自分としては特に考えが変わったという意識は無いんです。

ラクスルも「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げていて、単純な社内の新規事業ではなく産業構造全体を変えに行くことを目指しています。これはDIも同じ方向性なんですよね。

ーー網野さんはいかがでしょう?

網野:

私は新卒でマーケティングを生業にする博報堂に入社しました。

当時、事業成長の変数はすべてマーケティングにおける「商品」と「顧客接点」に詰まっていると思っていたのですが、実はもうひとつの概念があると気づきました。それが、マーケティングの上位概念にある「ビジネスモデル」です。

2010年代に入ってから「ディスラプター」という言葉がアメリカから流行って、スタートアップが既存産業の構造を変えていた頃に、「何か4P(Product・Price・Promotion・Place)以外の別の変数がある」と感じたんですよね。

その「ビジネスモデル」は博報堂の中にいるだけでは学びづらい、一番学べるのは事業創造(ビジネスプロデュース)を中心に展開しているDIだと思い、DIを選びました。自分のビジネスマンとしての引き出しを増やしたい、というのが主な動機でしたね。

実際DIに入ってみて、社内やクライアントと議論されるのは「ビジネスモデル」についてがほとんど。同僚は「ビジネスモデルのプロ」ばかりで、様々な産業や事業タイプに渡って、広く・深く議論することが求められます。

同じビジネスモデル内で4Pばかりを考えてきた私にとって、これまでにない機会が広がっていましたし、前職を飛び出した価値は本当にあったなと感じています。

新卒で入社した会社やDIでの経験から、私は「0→1」ではなく「1→100」の方が向いていると考えていたので、DI卒業後は事業会社で、かつスケールフェーズの事業に携われる会社に行こうと考えていて。そこでフィットした事業が、ノバセルだったという形です。

新規事業創造プロセス:変わらないこと/変わったこと

ーーDIに入ったことが現状の仕事に役立っていることはありますか?

城戸:

論理的思考などのハードスキルは前提にありながら、社内外ドライブするソフトスキルが役立ってますね。この事業会社でも実践できるスキルが、他のコンサルよりも強く求められ、かつ身につけることができるのがDIの特徴だと思います。

網野:

DIも1週間単位でアウトプットが求められるので「即行動しないと終了」してしまいます(笑)。行動力・突破力は、必然と身に付きましたね。

また、DIは産業縛りが無いので、いろんな産業に向き合うことで、どんなに混沌とした状況でも「連立方程式3本くらい作ってあとは解くだけ」という状況を作れる自信が培われたと思います。

城戸:

私は課題を何に設定するか、という力がまさに今も活きていますね。

ジョーシスは、本当に立ち上げのタイミングなので明確な役割分担が社内に無く、自分で課題を設定して自走する必要があります。社長の求めるレベルは高いですしダイナミックなため、

KPIのセンターピンを何に定めるかという課題の見極めや、スピード感への耐性という点でも、DIで培った経験が活きていると感じています。

ーー解くべき課題をスピーディに見極める力が活きているのですね。

城戸:

課題設定、これを間違えてしまうと、商品や組織など、すべてに影響がでてしまいます。

このKPIを、誰が見てもわかるくらいクリアに設定できるか。私もまだまだですが、それに資する力を身に着けることができたのかなと思います。

「産業プロデュース力」はスタートアップでも活きる

網野:

あと、役に立っているのは「産業レベルの視座」ですね

事業をやっていると商品や顧客、競合だけしか見えなくなってしまう側面がある一方で、いかに産業レベルで俯瞰できるかどうかが大切です。

例えば、私はいまテレビ産業にドメインを置いた事業をやっていますが、「テレビ産業が5年後10年後どう変わっていくか」という俯瞰絵を描いた上で、ノバセルがどのポジションをとれるかを考えています。

ーー先ほどDIとラクスルでは通ずる部分があるとおっしゃっていました。

網野:

ラクスルには、「産業には重力が働く」という言葉があります。産業を俯瞰した時に、必ずどこかに歪が存在していてそこには重力が働く。ゆえに、そこに関与することでその動きを加速させることができる。

そういう意味で、DIで培った「産業レベルの視座」は、ここに通ずると思っています。

城戸:

たしかに、「産業のルールは変えることができる」という感覚や、自信を持てているのは、DIでの経験が大きいかもしれません。

頭ではわかっていても、なかなか肌感覚でわかることじゃないですよね。DIは国や政府にアプローチして、産業改革の構想を描くということを本気でやっている。これはなかなか他にはない強みだと思います。

ーー「全体像を先に描く」ということなのかなと思います。スタートアップでも普段からその感覚が役に立つものなのでしょうか?

城戸:

例えばジョーシスでも、事業戦略はもちろんのこと、アライアンスにおいてもその強みが活きています。

情報システムひとつとっても、企業規模によってまったく求められるものは異なるので、様々なパターンを頭に入れたうえで、どういった山の登り方をしていくべきか。これは、全体像なくして考えられません。

アライアンスも産業全体を見て、自分たちとシナジーのあるプレーヤーはどういうポジションなのか、どういう利点を伝えればWinWinになれるのか。自分たちの視点ではなく、産業視点があるからこそ提案もよりクリティカルになってきます。

これはスタートアップにおいても日々活きている思考法であり、視点なのかなと思います。

 

(後編/②につづく)