第3話「課題の真因を捉えよ」

  • 公開日:2022年09月01日

シナリオ:星井博文
作画:鴨修平
編集:株式会社 トレンド・プロ

コラム

課題の真因を捉える

社会課題を考える時、表面的な課題だけを押さえても議論が前に進みません。
例えば、人手不足に悩む企業があったとします。しかし、その企業の課題が採用なのか、業務の無駄なのかによっても解決策は全く異なるものになります。しかも、業務に無駄が多いとしたらそれはどの業務か、その背景にはどんな組織的・業界的な課題があるのか、そこまで検討して始めて意味のある解決策の検討が始まります。「真因」を捉えない解決策は、課題を解決できないことはもちろん、そもそも相手に響きません。
昨今では「“なぜ”を5回繰り返す」といった考え方が一般的に言われるようになってきました。新規事業を考える際にも同じです。社会課題に対して“なぜ”を繰り返して“真因”まで突き止めることで初めて課題が腹落ちします。逆に課題が腹落ちすると、むしろ解決策は自然に出てくることが多いように思います。

「妄想」を「構想」に変えるのは詳細なファクト

社会課題の真因を捉えた後、この真因を突破するような具体策を突き詰めていく中で、「妄想」は「構想」になります。そして、具体策まで考えられるレベルまで社会課題を捉えるためには、やはり詳細なリサーチ、特にこの段階では、「現場で得られる生の情報」が大きな進展を生むことが多いのが特徴です。
成熟した業界では「業界慣習の矛盾」が社会課題の真因になっていたりするのですが、内部の人はそれが当たり前なので意外に気付けません。ところが客観的な目を持つ人が現場を見ると、その矛盾に引っ掛かり、あっさりと真因にたどり着くことが多いのです。
仮説を立てる→現場を見て担当者と話す→仮説をアップデートする→・・・というプロセスを何度繰り返せるかで構想に進化する確率がグッと上がってきます。