The challenger becomes the person you want to meet the most.

INTERVIEW

“ビジネスプロデュース×テクノロジー”を強みに。T&Aだからこそできる挑戦と成長

新規事業創出を軸に戦略コンサルティングを展開するドリームインキュベータ(DI)は、2023年に新プラクティス「Technology & Amplify」(T&A)を立ち上げた。テクノロジーを駆使して新たな価値の創造・増幅を目指すT&Aだからこそできる挑戦と成長について、若手コンサルタントが自身の実体験を交えて語る。

シニアコンサルタント Jun W.

外資系IT企業、大手総合コンサルティングファームを経て、2023年1月にDIに入社し、新規事業戦略立案や新サービスの立ち上げに向けた実証実験支援等の案件を複数経験

日本企業が持つ革新的な技術シーズの事業化への課題意識

――まず、これまでのキャリアについてお伺いします。どのような経歴をお持ちでしょうか。

新卒で外資系IT企業に入社し、クラウドコンサルティング業務に携わった後、外資系コンサルティングファームに移り、DX戦略案件や新規事業開発案件に従事しました。当時は事業案のアイディエーションやビジネスモデル設計といった机上検討を中心に担当していました。

――DIへの入社を決めた経緯を教えてください。

次第に戦略構想だけでなく、事業を立ち上げきるところまで経験したくなり、DIに入社を決めました。DIには様々な業界や幅広いテーマに携わる機会が溢れており、どの内容にも興味がありましたが、中でも日本の製造業の社内に眠っている優れた技術を掘り起こし、戦略構想から事業立ち上げまでを一気通貫で支援するプロジェクトに挑戦したいと考えておりました。

私見ですが、日本企業が持つ革新的な技術が社内に埋もれており、社会課題解決の手段としてポテンシャルを秘めているにもかかわらず十分に活用されていない現状に対して特に強く問題意識を感じています。

現在、日本企業は14兆円ほど研究開発に投資していますが、その成果である技術シーズのうち6割以上は事業化されずに消滅しています(経済産業省「我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向」)。米国と比較しても日本の研究開発は技術主導色が強く、市場視点を持って技術を付加価値(製品・サービス)に変換できていないため、企業にとっての新たな対価獲得の機会損失だけでなく、社会課題解決手段としてのポテンシャルも見逃しているといえます。

――T&Aではそうした課題に対し、どういったアプローチができるのでしょうか。

日本企業が持つ革新的な技術シーズが事業化されない要因として、イノベーションの火種をトライ&エラーを通して社会実装に繋げるノウハウや、イノベーションを牽引する組織・人材の不足が挙げられます。そうした日本企業が抱える課題に対し、ビジネスプロデュースカンパニーとしてこれまで培ってきた事業創造の「型」作りやイノベーション人材・組織の育成に関するノウハウに加え、T&Aのテクノロジーに関する幅広い知見や、新規事業の取り組みを組織全体に広げていけるような組織化や業務プロセス・システム化まで含めて、クライアント社内に広げる(Amplify)ところまでを支援できる点が特徴的だと考えています。

テクノロジーに関する知見も活用して事業開発を加速

――T&Aでの具体的なプロジェクトについて教えてください。

T&Aでは、スポーツ業界における新たなファンサービス立ち上げや自動車業界における新規事業戦略立案・事業化支援等の案件に携わっていますが、その中でも特に印象に残っているのは、大手自動車メーカーの新規事業開発支援プロジェクトです。自動車製造で培ってきた技術の強みをもとに、モビリティ以外の全く新しい領域に視野を広げて新規事業の創出に挑むといったお題でした。T&Aメンバーだけではなく、DI内で組織横断の混合チームを組成し、私はシミュレーションやデータ解析などテクノロジー領域にかかわる技術を中心に事業検討を担当しました。

具体的には、有望技術の掘り起こしやアイディエーションから始まり、事業環境分析・ビジネスモデル仮説設計・事業収益性評価・市場参入戦略策定・マネタイズ/プライシング設計・協業先とのスキーム検討といった戦略コンサルティング領域に加え、ビジネスモデルを踏まえた機能要件の洗い出し、システムアーキテクチャ構想設計・取得データを活用した中期的ビジネスロードマップ検討といった、テクノロジー領域の検討まで一貫して支援しました。

当然ではありますが、DIの手が離れた後もクライアントの事業開発チームは継続して事業リードを担っていくことになるため、事業戦略を絵に描いた餅では絶対に終わらせられないというプレッシャーがある中、数々の壁にぶつかりながらも進めました。

様々な壁にぶつかりながらもクライアントと共にチャレンジを続ける

――具体的なチャレンジについて教えてください。

特に印象に残っているチャレンジが2つあります。1つ目は初期顧客を獲得することです。新規事業開発においてアイデアを具体化するためには、顧客候補と早期に接触し、フィードバックを通じてサービスを磨くことが重要です。

諸事情により、当初ターゲットとしていた国内の初期顧客候補にアプローチできない可能性が浮上し、ターゲットの見直しを余儀なくされました。このままでは事業計画の大幅な下方修正どころか、事業検討の継続さえ危うい状況に陥りました。

――その状況をどのように乗り越えましたか。

目線を国内から海外に移し、海外市場の机上調査やインタビューを行いました。分析を進めると、海外企業においても日本企業と同様、あるいはそれ以上の課題を抱えていることが明らかになりました。そこで「日本市場をすっ飛ばして海外市場から攻めてみましょう」とクライアントに提案し、ものの数週間後にはメンバー全員でアメリカに飛び立ちました。

現地では顧客候補や競合が一堂に会する展示会に参加し、顧客候補との接触・実証実験の交渉・競合製品の視察等を行いました。会場ではターゲット顧客の出展ブースを順に回り、手が空いていそうな方に飛び込みでピッチ・交渉をしまくるといった、文字通り泥臭く・汗をかきながら奔走しました。結果として、複数の世界トップ企業との接点構築に成功し、現在進行形で実証に向けて具体的な協議を進めています。

余談ですが、当日はあいにくの土砂降りでした。それにもかかわらず、顧客候補企業との交渉を目前に控えたメンバー全員のモチベーションは非常に高く「ビニール袋を身に纏い、這ってでも顧客候補の企業に会いに行こう」とクライアント自ら言ってくださったのは非常に嬉しかったですね。

 ――もう1つのチャレンジについても教えてください。

2つ目は事業性を成立させることです。検討しているサービスの特性上、製造業でよくある原価積み上げでプライシングし、売切りモデルでマネタイズをしてしまうと、事業規模が数億円程度にしか届かず、クライアントが目指す規模に到底達しないことが判明しました。そこで、原価起点の価格設定ではなく付加価値起点の価格設定(バリューベースプライシング)に切り替え、売切りモデルではなく継続課金モデルを実現すべく、同モデルが採用されることが多いSaaSプロダクト開発経験のあるT&Aメンバーと相談しながら、値付けの根拠となる付加価値の定量化や従量課金の単位などを検討し、事業性が成立するビジネスモデルに着地することができました。

他にも、中期的な事業戦略としてデータビジネス参入を目指すためには、あらかじめどのようなデータが取得できる状態であるべきかといった論点を技術研究所出身のAIスペシャリストに相談したり、リバースエンジニアリングや知財観点等、どのようなリスクに備えておくべきかといった視点を自動車メーカーのエンジニア出身メンバーや弁護士事務所出身のメンバーに相談したりするなど、DI内の様々な領域のプロフェッショナルに知見を借りながら検討を進めることができました。

目に見えるインパクトを生み出す

――顧客獲得の壁・事業性成立の壁を乗り越えた後、事業成長の局面においても課題はあるのでしょうか。

優れた技術を有している大企業にこそ起こりがちですが、社内稟議に時間がかかり進まない、既存事業の商習慣に影響を受け自由に動けない、既存事業の業績に新規事業開発の予算が振り回されてしまうなど、折角顧客が見つかっても社内の都合により、事業成長スピードが大幅ダウン、メンバーのモチベーション低下にまで繋がってしまうことも多々あります。

その打開策の1つとして着目しているのが、カーブアウトを通じた事業の独立化です。

――カーブアウトに着目する理由は何でしょうか。

従来の不採算事業を切り離す意味合いとは異なり、スタートアップとして別法人を創設することで、既存事業の制約を受けることなく、社外の資源・資金も活用しながら事業成長の加速が期待できるからです。

例えば、NECはdotDataをカーブアウトとして独立させることで、研究開発スピードの加速や外部投資家からの資金調達を実現していますし、IBMはKyndrylを切り離すことで、これまで協業が難しかったMicrosoftやGoogleと連携し、事業の可能性を広げることに成功しました。また、最近では経済産業省も“起業家主導型カーブアウト”と称し、事業会社から事業をカーブアウトさせ、スタートアップとして成長させる取り組みを推進しており、日本企業のイノベーション創出の1つの型として注目されつつあります。(令和6年4月にガイダンスを公表)

0から新規事業を生み出す案件に従事していると、つい上市自体をゴールにしてしまいがちですが、重要なのはそこから事業を成長させていくことです。特に大企業の中から新規事業を生み出す場合、数十億円の事業を続けていても企業全体へのインパクトは少なく、経営にとっても見えにくい取り組みで終わってしまいます。前職時代も頭では分かっていたつもりでしたが、DIの新規事業開発プロジェクトに従事してから、より一層、成長までコミットすることが重要だと気付くことができました。

――今後の目標についてお聞かせください。

今後も様々なチャレンジを続けていきたいと考えていますが、特に取り組みたいテーマは“事業の出口戦略策定”です。一般的なコンサルティングファームの新規事業開発支援は、市場探索や事業性検討等の事業立ち上げフェーズまでが中心ですが、前述のようにサービスを世に出した後の拡大・成長フェーズにも新たな壁が待ち構えています。

T&Aは価値をデザインするだけでなく、実現に向けて具体化する仕組みづくりまでをミッションとしているため、まさに自分がチャレンジしたい事業価値の増幅まで支援することができると感じており、この環境でさらにストレッチしながら目に見えるインパクトを生み出せるビジネスプロデューサーになりたいと考えています。

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