グローバル戦略共創

Client: デンソー

インドでの製造・モビリティ分野向け統合デジタルプラットフォームの社会実装事業

背景

グローバルサウス諸国が抱える社会問題を解決することを通じて、各国の市場成長を支援しながら日本経済の活性化も同時に進める、未来志向型共創事業が積極的に推進されている。このような産業協力事業では、日系製造企業が競争力を維持・向上する過程で培った技術・ノウハウ・ナレッジが各国の経済発展に必要不可欠と考えられ、現地企業との連携を通じた現地でのビジネス創出が期待されている。

このような期待に応えるために、国際連合工業開発機関(UNIDO)の援助のもと、DIとデンソーが協力体制を構築し、インドの製造サプライチェーン強化及びモビリティ産業インフラを支えるデジタルプラットフォームの事業実証に取り組む。

支援内容

本プロジェクトは、インドの製造業やモビリティ産業における課題解決を通じて、自動車部品製造の枠組みを超えた新規事業創出を目的に、デンソーと共同でデータドリブン事業実現を目指した取り組み。

【Phase1】 市場分析及びフィージビリティスタディの実施

デンソーが事業主体として、インドにおける事業機会の探索及び事業戦略の策定をDIと共同で推進。市場調査の結果、インドの製造業では下記のような深刻な課題があると判明。

<インドの製造業における課題>
・サプライヤー、製造工場、運送業者にまたがるサプライチェーンが脆弱なため製造業全体での生産性が低い
・自動車販売店、修理工場、リサイクル工場、保険といった自動車産業を取り巻く企業間の連携不足のため、自動車ライフサイクルビジネスが未成熟
・グローバル企業と比べて、インドの製造業界全体においてGHG排出量削減対策が不足しており、カーボンニュートラルに向けた動きが遅延

これらの課題解決によるビジネス機会を見出し、統合デジタルプラットフォームを核とした二つの新規事業の構想を策定。

  1. Integrated Manufacturing
    複数の製造企業から構成されるサプライチェーンを統合管理するデジタルプラットフォームにより、調達、販売、製造、運搬を円滑化することでインド製造業の生産性を向上するソリューションを提供。さらに製造・運搬過程で発生するGHG排出量(Scope1-3)も管理することで環境対策も進める。
  2. Mobility Circular Economy
    車両オーナに対して保有車両の修理、売買、廃棄などを簡単にできるデジタルプラットフォームサービスを提供。販売後の車両データの分析により、インドにおける自動車ライフサイクルビジネスの活性化を促進。

【Phase2】 新事業の社会実装

Phase1で策定した新規事業案は、2025年7月より国際連合工業開発機関(UNIDO)の「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」に採択され、「製造・モビリティ分野向け統合デジタルプラットフォームのインド社会実装事業」としてインド国内での実証事業を開始。(2027年11月終了予定)

本実証事業では、製造・モビリティ分野向け統合デジタルプラットフォーム「Solwer」の現地での実証を通じて、自動車及び製造分野における日本のデジタル技術・サービスの展開促進を目指す。また、Solwer活用のため必要となるデジタル・AI活用能力の教育プログラムを現地労働者のスキルアップ機会として提供開始予定。

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