「月刊 碁ワールド」連載中(10月20日更新)

Category: Interview
2015.10.20

外池 徹氏

【外池徹 氏 プロフィール】

昭和48年 株式会社第一勧業銀行入行
平成14年 株式会社みずほコーポレート銀行 執行役員
平成16年 常務執行役員
平成17年 第一勧業アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
平成19年 アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)副社長
     日本における代表者・社長就任(第8代)
平成27年 副会長就任
大阪府出身

日本で初めてがん保険を発売するなど「生きるための保険」のリーディングカンパニーであり、愛らしいアヒルのキャラクターでも知られるアフラック。そのアフラックにあって、副会長を務める外池氏に囲碁と経営についてお話を伺った。


 

― 囲碁との出会いについてお教えいただけますでしょうか?

高校の時に祖父に教わったことがきっかけですね。祖父はあまり強くはありませんでしたが50年以上の囲碁歴があり、本当に囲碁が好きで楽しそうに打っていました。

祖父に手ほどきを受けた後、二段ほどの実力を持つ父ともよく打つようになりました。実は、私がこれまで対局したのは、基本的にこの祖父と父、それに父の弟である叔父だけでして、社会人になってからもほとんど打つ事はありませんでした。
テレビや本などで勉強はしていたのですが、家で「よそ様とは打つなよ」、と釘を刺されていましたので(笑)。手かげんということを知らないからだと思います(笑)。

― テレビと本で強くなられたのですね。当時は、専ら囲碁を打たれていたのでしょうか?

そんなことはありません。高校・大学を通じて特定のなにかにのめりこむことなく、幅広に色々なことに手を出していました。囲碁は、そのうちの1つという位置づけでした。

具体的に、将棋、麻雀、花札、トランプ類は大抵やりましたよ。自分の性格は将棋向きかと思っていたのですが、最終的には囲碁にのめりこんでいきましたね。

― 性格がなにかのゲームに向いているというお話は面白いですね。具体的にお教えいただけますでしょうか?

私は、自分のことをもともとは「ものごとを理屈でつめていくタイプの人間」だと思っていたので、将棋のほうが性格的に向くと考えていました。

将棋はご存知の通り、論理や読みの領域が非常に大きな割合を占めます。一方、囲碁は、理論上全てを読めるはずでも、実態としては、読みきるのが難しい。割合で言うと、そういったファジーな面が将棋よりは大きいわけです。

そうすると、私のような性格ですと、将棋のほうが向くはずなのですが、最終的には囲碁のほうがはまっているので、結局のところ、自分が思っていた性格とは違うのかもしれないというのが最近の気付きですね(笑)。

― そういう気付きもあるのですね(笑)。ファジーな囲碁の魅力とはどういったところにあるのでしょうか。

囲碁の魅力は、やはり、自分の責任で完結するところでしょうね。言い訳ができない。昔は、対局に負けて、夜寝ようとすると、ふと盤面が浮かんできて、「あそこでこう打てばよかったのではないか」と思うことがありましたけど、そのように自分と向き合って、自己責任でできるのが面白いですよね。

例えば、麻雀も好きですけれども、あれは実力だけでなくて、運という要素がはいってくる。そうすると自己責任とは割り切れない面があると思うわけです。

もっとも、実力と運とのバランスが良いからこそ、麻雀も楽しく、普及しているのだと思いますけど。そう思うと、ゲームも経営もバランスが大切ですね。

 

【囲碁とビジネスについて】

― 自己責任ですか。確かに、言い訳がきく領域はとても少ないですね。ちょうど、ゲームも経営もバランスが大切というお話がでましたが、囲碁とビジネスの親和性についてお伺いしてよろしいしょうか?

まず1つは、人間関係が持てること、作りやすいことですね。先にお伝えした通り、私は基本的に親族としか対局をしてこず、親からは仕事関係では対局するなと言われていましたが(笑)、それでも共通の話題が年齢・役職に関係なくできる囲碁には幾度となくお世話になりました。

次は、部分と全体を常に行き来する思考ができるということですね。部分最適が全体最適にならない例は、囲碁だけでなく、ビジネスの場でもよくある話です。

ゆえに、そのような思考方法を身につけておく必要がある。

私の場合、囲碁のほかに、ジョブローテーションが前提となっている銀行の生活が長かったおかげで、このような思考には慣れることができていました。ローテーションが前提だと、いずれは相手の立場に自分が立つ日がくるかもしれないから、全体的な視点で考えるようになるわけです。

最後は、やはり自己責任ということですね。先にもお伝えしましたが、囲碁は自分しかいない。言い訳がきかない。経営も同じです。例えば、経営では、他の選択肢に比べて「論理的には説明できないがこちらを採るべきだと直感が働く」選択肢が存在する。いわゆる筋の問題ですね。つまり、ファジーな中で自己の責任範囲内で意思決定をしなくてはならない。役職が上がるにつれ、その波及効果は大きくなる訳です。こういった緊張の中、自己責任でものを進めていくというのは囲碁に通底するものがあると思っています。

― 絶対に正しいとわかれば、それは意思決定ではないですものね。

そうですね。現実問題として、多くのことが不透明なところで意思決定しなくてはならないわけですから、ステークホルダーの皆様のことを思いながら、真摯に考えて決めていかなくてはなりません。

― では、最後に囲碁を始める方にメッセージをお願いいたします。

囲碁は最初から面白いということはないかもしれませんが、だまされたと思って始めてみてください。集中力も鍛えられて良いと思います。

― ありがとうございます。

 

聞き手
株式会社ドリームインキュンベータ
ビジネスプロデューサー 大津留 博文

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