出版不況と戦う、角川の未来型メディア戦略

KADOKAWA取締役相談役 佐藤辰男(上)


東洋経済オンライン連載 2014.3.26

Category: Interview
2014.03.26

 

最大の課題は「アナログからデジタル」

三宅:私は大企業の新規事業のお手伝いをすることが多いのですが、やり遂げられないとか、途中で苦しくなってやめるとか、本業から見ると注目されないのでつらい、という ケースがけっこうあるのです。会社として、KADOKAWAには、どんどん新しく変革していこうという風土があるのですか?

佐藤:「Changing times, changing publishing」が社是なのです。時代が変われば出版の形も変わります。つねに変化に対応していく精神を奨励しています。

三宅:変化を常態化しているわけですね。ダーウィンの進化論と同じで、変わらないものは死んでいく。それがみなさん、当たり前になっているのですね。

 

BP15

 

佐藤:それだけメディア業界に逆風が吹いているということでしょう。先ほどの3つのコンセプトのうち、「IP企業体」は新しいビジネスに挑戦していく楽しい話です。しかし、いちばん大きな課題は「アナログからデジタルへ」なのです。ユーザーがデジタルネイティヴに変わり、紙の雑誌が非常に苦しくなっている。新しい広告ビジネスも成り立たない。それにどう対応していくかです。

 ひとつはKADOKAWAの得意なライトノベル、コミックなどのコンテンツをデジタル化して、直営電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」のプラットフォームに載せています。それからNTTドコモと組んで、スマートフォン向けの動画配信サービス「dアニメストア」を作りました。また、デジタルというよりECですが、1999年にはキャラクターグッズのショップ「キャラアニ」を立ち上げています。コンテンツという切り口から言うと、BOOK☆WALKERやdアニメストアが成功したことは、非常に大きかったと思いますね。

三宅:それは組織的にはどうなっているんですか?

佐藤:BOOK☆WALKERやキャラアニもいわばネット上のお店ですから、セールスマーケティング統括本部という営業部門が管轄する子会社が運営しています。顧客のIDを共有化するID戦略も始めています。これも面白い展開になってきました。

三宅:ユーザーとより強く結び付いていくことになるわけですね。

佐藤:そうですね。本も読みたい、同じ作品のアニメも見たい、フィギュアも欲しいという需要に、ダイレクトに応えられる環境を作っていこうとしています。

(構成:仲宇佐ゆり、撮影:大澤誠)

※ 続きは3月19日(水)に掲載します

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