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Disruptor 50 -DIが読む世界の潮流-

2015.6.4

 

イノベーションの必要性が声高に叫ばれる中、既存の業界の構造を変革し、新たな価値を提供する「Disruptor(創造的破壊者)」の存在に注目が集まっている。

昨年は、この「Disruptor」について、CNBC発行のDisruptor 50を参照しつつ、つながる世界のビジネスについてお伝えした。

今年は、最新版のDisruptor 50を使い、つながった後の世界の潮流の一端を分析したのでご紹介したい。なお、Disruptor 50の概要*や、昨年の顔ぶれの特徴などについては、昨年の記事をご覧いただければ幸いだ。


今年のDisruptor 50

早速ではあるが、今年ランクインした企業の一覧をご覧いただこう。

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我々はこの50社について、以下の分類**を行ったので、こちらも参考にしていただきたい。

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まず、「新技術の開発を行う企業」であるが、昨年同様全体の2割程の企業がこれに該当した。食糧問題など人類の課題を解決し、世界を変えようとしている会社が、毎年ランクインしてくることは、非常に頼もしく、歓迎すべきことではないだろうか。

一方、我々がここで注目したいのは、残りの8割を占める「ITを利用し、新サービス・新ビジネスを展開する企業」である。昨年我々は、この残り8割の企業に対して、個人同士の「つながり」により生み出される新たなサービスの存在を示し、そこに驚異と脅威を感じた。

今年も昨年同様、この残り8割の企業は、主に「つながり」を活用したサービスを提供する企業たちである。そこで今年のサービスには具体的にどのような特徴があるのか、2015年度から新しく登場した企業を中心に見ることで、潮流の一端をご紹介したい。

 

単なる「つながり」から「つながり」の多様化へ

2015年の「つながり」を活用する企業に見られた特徴を抽出し、大別すると以下の4つを指摘できると考えている。すなわち、

Ⅰ.「つながり」をあえて限定
Ⅱ.「つながり」以外の付加価値を提供
Ⅲ.新たな「つながり」の創出
Ⅳ.他サービスの「つながり」を利用

この4つである。1つずつ企業例を交えながら詳しく見ていこう。

 

Ⅰ.「つながり」をあえて限定

ものや情報が、いつでも誰とでもつながることが可能となった世界で、あえてつながるヒト・場所・モノ・情報などを限定したサービスにより差別化している企業である。

代表例:Nextdoor(つながる範囲を住んでいる地域に限定)

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その他には、Dollar Shave Clubは提供する商品を限定したサブスクリプションサービスを提供すること、PinterestSnapchatはSNSにおいて共有する情報の種類や、共有する方法を限定することで他との差別化をしている。

 

Ⅱ.「つながり」以外の付加価値を提供

「つながり」が当たり前となったサービスで、「つながり」以外の付加価値を提供することにより差別化を図っている企業である。

代表例:Narrative Science(AIを利用し、早く、分かりやすい分析結果を出力)

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その他に、Wealthfrontや、Bettermentなどは投資に関するアドバイザリーサービスについて自動化を行っている点で、同様の特徴をもつ企業であると言える。

 

Ⅲ.新たな「つながり」の創出

これまではつながっていなかったヒト・モノの間に新しい「つながり」を創出し、既存サービスをDisruptしている企業である。

代表例:Synack(ホワイトハッカーと、ハッカーの手によるセキュリティを必要としている企業との「つながり」を創出)

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他には、HouzzHackerRankが、これまでつながっていなかったヒト(の能力)と、それを欲しているヒトとの「つながり」を提供しており、所謂マッチングサービスに属する企業の多くがこの特徴を有していることが分かる。

 

 Ⅳ.他サービスの「つながり」を利用

他のSNSなどによって創られた「つながり」を利用した新しいサービス・ビジネスを創出している企業である。

代表例:Hearsay Social(SNSで情報収集をし、フィナンシャルアドバイザーにマーケティング材料として提供)

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その他には、Klarnaなどの決算サービスはECなどのオンライン商業の普及を受けてのサービスである点で、また、SlackはSNSやクラウドサービスの普及による煩雑化を受け、それらと連携し、整理・活用がし易いUIを提供している点でこの特徴に該当する。

以上の特徴を見ていくと、次のことが言えるのではないかと我々は考えている;

「つながり」が普及した業界では、他社との差別化を図る競争が始まっており(Ⅰ・Ⅱ)、現在つながっていない領域については、つながりが拡大する可能性が高い(Ⅲ)。そして、「つながり」の普及を活用した、新しいサービス・ビジネスが誕生していることから(Ⅳ)、今後も「つながり」をテーマにしたビジネスの拡大が予想されるということである。

すなわち、既に到来している「つながる世界」は巨大であり、今もなお、成長し続けているのである。

 

過去との比較

最後に、Disruptor 50の3年間での顔ぶれの変化について少し触れておこう。

各年の選定企業は、2013年度から2014年度では50社中33社、2014年度から2015年度では50社中24社が変化しており、2013年度と2015年度を比較すると、残っているのは15社のみで(2014で1度消えたが復活してきた1社(Square)を含め)、7割の企業が入れ替わっている。

また、各年の企業分類ごとの選出数をみていくと、分類ごとにばらつきはあるものの、各年で一定数以上の企業が存在していることから、新技術を追い求める企業、「つながり」を活用する企業問わず、常に激しい競争が起こっていることが分かるだろう。

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加えて、この各企業の設立時期を着目したグラフからは、2015年度の選出企業が、他年度の選出に比べ、2006年、2007年設立が少なく、2010年、2011年設立が多いことから、リーマンショック以降に立ち上がったベンチャーが力をつけ、ここ1年で台頭してきている様子を伺うことができる。

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かつてDisruptする側にいた企業が、現在ではDisruptされる側に回ってしまっていることが考えられるのではなかろうか。

 

結び

これまで、Disruptor 50の2015をベースにしつつ、我々が見てとった世界の潮流をご紹介してきた。それは、「既に到来している「つながる世界」は巨大であり、今もなお、成長し続けている」ということである。今後さらにビジネスを成長させるためには、各企業が所属する業界内の競争だけでなく、つながる世界で起きるDisruptionを切り口に考えていく必要があるのではなかろうか。

最後に述べたとおり、Disruptionの世界は、栄枯盛衰が激しい。今日のDisruptorが明日にはDisruptされる側になっているかも知れない。これについては、次回お伝えしたいと考えている。

 

【注】
*  今年の選定から、各ベンチャー自身による自薦によるノミネートも可能になった。詳しくはこちら
**   各企業の分類d50

 


【執筆者 略歴】

ビジネスプロデューサー 大野 秀晃

大野秀晃2慶應義塾大学法学部政治学科卒業。ゴールドマン・サックス証券を経て、DIに参加。
ゴールドマン・サックスでは、香港・東京オフィスで各3年間、人事業務全般に従事。主に汎アジア証券部門の人事戦略構築と執行を担当。DIでは国内外ベンチャーの投資判断、事業投資先の中長期戦略策定及び実行支援、日本メーカーの海外R&D拠点設立支援、デジタルメディア・エンタメ等の分野におけるDI自身の次世代事業創出案件等、幅広い業務に従事。

 

 

ビジネスプロデューサー  大場 大輔

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早稲田大学大学院創造理工学研究科卒業後、DIに参加。
在学時は建築学を専攻し、オフィスビルの設計プロセスの改善や、オフィス・住宅でのエネルギーマネジメントについての研究、室内外の温熱環境の見せる化ツールの開発などに従事。DIでは、国内メーカーのグローバル化推進に向けた人事・CSR戦略構築支援に加え、海外ベンチャーの動向や事業モデル、ならびに、国内大手企業のベンチャー投資に関する調査・分析などに従事。